MMDer向けBlender講座:簡単なアクセサリを作ろう【作業手順】
目次
作成手順:モデリング
基本的にUIで操作を行い、ショートカットキーも緑のマーカーで併記します。例 [Shift + S]
NUM1=テンキーの1です。数字のみの場合フルキーの数字です。
Blenderではショートカットを使用する際、文字入力モードは半角である必要があります。
図面を取り込む工程を省くため、数値の入力で椅子の形を作ります。
入力する数字は黄色いマーカーで表示します。例「21」
保存は適宜必要なタイミングで行ってください。
脚
- ナビゲートの-Yをクリックして視点を正面にする。[NUM1]
- 表示方法を透過表示[Z → 2]、ソリッドモード[Z → 6]に変更する。
- 追加[Shift + A]→メッシュ→立方体から立方体(Cube)を追加する。
- 追加した立方体(Cube)をクリックして選択し、オブジェクトモードから編集モードに切り替える。[Tab]
- ボックス選択[Shift + Space + B]に切り替え、立方体の下の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Zに「0」と入力する。
- 立方体の上の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Zに「42.5」と入力する。
- 立方体の画面右の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Xに「21」と入力する。
- 立方体の画面左の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Xに「17」と入力する。
- ナビゲートのXをクリックして視点を側面にする。[NUM3]
- 立方体の画面左の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Yに「-23」と入力する。
- 立方体の画面右の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Yに「-19」と入力する。
- 編集モードからオブジェクトモードに切り替える。[Tab]
- ナビゲートのZをクリックして視点を上面にする。[NUM7]
- モディファイアープロパティ→モディファイアーを追加→ミラー→座標軸のYをクリックしてミラーリングを追加する。
- モディファイアーを適応する。(※モディファイアーの上にマウスカーソルを乗せて[Ctrl + A])
- オブジェクトモードから編集モードに切り替える。[Tab]
- 表示方法を非透過表示[Z → 2]に変更する。
- 面選択モード[3]に切り替える。
- 脚の後ろ2つの面をShiftを押しながらクリックして選択する。
- ナビゲートの-Yをクリックして視点を正面にする。[NUM1]
- 押し出し[E]で黄色い+マークをドラックで上方向に脚を伸ばし、アイテム→トランスフォーム→中点→Zに「84」と入力する。
ボックス範囲選択を使ったのに手前の頂点しか選択できない。
非透過モードでは画面に写っていない部分の頂点は選択できないので透過モードにする必要がある。
オブジェクトの表示方法を変更できる。
青は透過モード、グレーは非透過モード。切り替え(トグル)式。
途中で透過モードから非透過モードへ変更するのは何故?
上面から面選択をした際、上面ではなく下面が選択されてしまう場合があるため。
上述の通り非透過モードでは画面に写っていない部分は選択できないため、確実に上面が選択できる。
選択する方向と数値を入力する順番に意味はあるの?結果的に同じ形になるのならば逆の頂点を選択してもよいのでは?
選択する方向・数値を入れる順番共に意味があります。
今回の手順はポリゴンの裏返りを防ぐために右が先だったり左が先だったりしています。
もちろん、ポリゴンの裏返りを直す手段はありますが、工程が増えないよう裏返らない順番を記しています。
ポリゴンが裏返ると問題があるの?
以下の動画は画面左が正常なモデル、画面右が座面上のポリゴンのみを意図的に裏返したモデルです。
カメラモードでは面が真っ黒になり、モデルモードでは面が存在しないように見えます。
この裏返ったポリゴンを利用することもあるのですが、基本的にはポリゴンの裏返りは望ましくありません。
座面
- ボックス選択[Shift + Space + B]に切り替える。
- 頂点選択モード[1]に切り替える。
- 表示方法を透過表示[Z → 2]に変更する。
- 編集モードからオブジェクトモードに切り替える。[Tab]
- 追加[Shift + A]→メッシュ→立方体から立方体(Cube.001)を追加する。
- 追加した立方体(Cube.001)をクリックして選択し、オブジェクトモードから編集モードに切り替える。[Tab]
- 頂点選択モード[1]に切り替える。
- 立方体の上の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Zに「42」と入力する。
- 立方体の下の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Zに「36」と入力する。
- 立方体の画面右の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Xに「20」と入力する。
- 立方体の画面左の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Xに「-20」と入力する。
- ナビゲートのXをクリックして視点を側面にする。[NUM3]
- 立方体の画面左の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Yに「-22」と入力する。
- 立方体の画面右の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Yに「22」と入力する。
背もたれ
- 編集モードからオブジェクトモードに切り替える。[Tab]
- ナビゲートの-Yをクリックして視点を正面にする。[NUM1]
- 追加[Shift + A]→メッシュ→立方体から立方体(Cube.002)を追加する。
- 追加した立方体(Cube.002)をクリックして選択し、オブジェクトモードから編集モードに切り替える。[Tab]
- 立方体の上の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Zに「82」と入力する。
- 立方体の下の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Zに「74」と入力する。
- 立方体の画面左の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Xに「-19」と入力する。
- 立方体の画面右の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Xに「19」と入力する。
- ナビゲートのXをクリックして視点を正面にする。[NUM3]
- 立方体の画面左の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Yに「21.5」と入力する。
- 立方体の画面右の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Yに「23.5」と入力する。
- ナビゲートの-Yをクリックして視点を正面にする。[NUM1]
- ループカット[Ctrl + R]で立方体に辺を挿入し、画面左下に表示されるループカットとスライド→分割数に「5」と入力する。
- ボックス選択[Shift + Space + B]に切り替え、立方体を全て選択「A」してメッシュ→複製[Shift + D]、[Z]キーを押し縦方向にのみ動くようにしてから適当なところでクリックして確定、左下に表示される複製を追加→移動→Zに「-12」と入力する。
- 複製した立方体の下の4頂点を範囲選択し、アイテム→トランスフォーム→中点→Zに「64」と入力する。
- 編集モードからオブジェクトモードに切り替える。[Tab]
- 立方体(Cube.002)を選択し、オブジェクト→原点を設定→原点をジオメトリへ移動を選択する。
- モディファイアープロパティ→モディファイアーを追加→シンプル変形→曲げを選択→座標軸のZを選択→角度に「-20」と入力する。
原点ってなに?
オブジェクトの中心となる点。ここを起点にミラーリングされたり、変形したりする。
統合
- シンプル変形モディファイアーを適応する。(※モディファイアーの上にマウスカーソルを乗せて[Ctrl + A])
- Shiftを押しながら背もたれ(Cube.002)→座面(Cube.001)→脚(Cube)の順番で選択し、右クリック→統合でモデルを一つにまとめる。
- 統合したモデルを選択して右クリック→自動スムーズを使用を適応する。
モディファイアーを適応するのは何故?
オブジェクトを一つに統合し、後の材質の適応やモーフ作成を楽にするため。
オブジェクトを統合すると統合先にないモディファイアーは消えてしまうため、統合前に適応する必要がある。
MMD Toolsでは書き出し(エクスポート)する際にモディファイアーを適応してくれるため、オブジェクトを分離したままならば適応せずとも問題はない。
何故背もたれ(Cube.002)→座面(Cube.001)→脚(Cube)の順番で選択する必要があるの?
最後に選択されたオブジェクトに統合され、名前や原点も最後に選択されたオブジェクトのものになるため。
今回は背もたれの原点が背もたれの中心に移動しているため、原点が移動していない脚に統合することで原点をワールドの中心(X:0 Y:0 Z:0)に戻している。
座面と脚の選択順は逆でもよい。
シーンコレクションからオブジェクトを選択すると逆の挙動(最初に選択されたオブジェクトに統合される)になるため注意が必要。
作成手順:材質(マテリアル)の追加
- 統合したモデルを選択してマテリアルプロパティ→+でマテリアルスロットを追加する。
- マテリアルスロット下の+新規をクリックし、新規マテリアル(Material)を追加する。
- 追加されたマテリアル(Material)をダブルクリックしてBlender用のマテリアル名を設定する。
- MMDマテリアルタブからMMD用のマテリアル名を設定する。
- デュフェーズ色→RGB→すべての数値を「1.000」にする。
- スペキュラーカラー→RGB→すべての数値を「0.000」にする。
- 反射に「5」と入力する。
- トゥーン輪郭にチェックを入れ、輪郭ウェイトに「0.5」と入力する。(太さはお好みで。私は0.4~0.6に設定することが多いです。)
材質で入力したのはなんの数字?
MMDの材質の推奨値。マテリアルの初期値がMMDの推奨値ではないため、変更する必要がある。
ディフューズ色=拡散色 スペキュラーカラー=反射色 反射=反射強度
カラーコードで表すと拡散色は「#FFFFFF」(真っ白)、反射色は「#000000」(真っ黒)です。
周辺光の色=環境光は拡散色の半分の値(0.5)に設定させることが多いようですが、MMDの仕様上は0.4が正しいらしく、Blenderの初期値も0.4なためそのままにしてあります。
参考PMXエディター:拡散色、反射色、環境色の設定 | CzPanel
作成手順:MMDモデル化
- MMD Toolsタブ→モデル製作→モデルを作成でMMDモデルに必要なエンプティとボーンを追加する。
- 名前→モデルの日本語名 名前(英語)→モデルの英語名を設定する。
- 実寸でモデルを作成しているため、スケールは「1」とする。
- 椅子→オブジェクトデータプロパティ→エンプティ→サイズに「10」と入力する。(大きすぎて邪魔なだけなので数値はお好みでOK)
- 椅子_armを選択し編集モードに切り替える。[Tab]
- ボーンをクリックし、トランスフォーム→長さに「40」と入力する。(大きすぎて邪魔なだけなので数値はお好みでOK)
- 編集モードからオブジェクトモードに切り替える。[Tab]
- オブジェクト(Cube)→椅子_armの順にCtrlを押しながら選択し、MMD Toolsタブ→モデル製作→メッシュを取付からオブジェクトを椅子_armに関連付ける。
その際自動的にアーマチェア(ボーン)モディファイアー「mmd_bone_order_override」が追加される。 - オブジェクト(Cube)を選択し、オブジェクトデータプロパティ→頂点グループ→+から新規頂点グループを作成し、名前を「全ての親」とする。
- オブジェクト(Cube)をクリックして選択し編集モードに切り替える。[Tab]
- オブジェクト全体を選択[A]し、オブジェクトデータプロパティ→頂点グループ→割り当てからオブジェクトにウェイトを付与する。
作成手順:モーフの作成
マテリアルモーフ
- 編集モードからオブジェクトモードに切り替える。[Tab]
- 表示方法を非透過表示[Z → 2]、マテリアルモード[Z → 7]に変更する。
- MMD Toolsタブ→モーフツール→マテリアル→+から新規スロットを三つ追加する。
- 各スロットの名前を赤(英:R)、緑(英:G)、青(英:B)とし、表示枠をそれぞれ赤を目(MMD:目)、緑を口(MMD:リップ)、青を眉毛(MMD:まゆ)とする。
- 赤スロットを選択し、マテリアルプロパティタブにてマテリアル「白」が選択されていることを確認、モーフツール→モーフ設定→+→乗算→全ての値を0に→ディフューズ色「R:1.000」 「A:1.000」、周辺光の色「R:1.000」、スペキュラーカラー「反射:1」、輪郭カラー「A:1.000」、輪郭ウェイト「1」
- 緑スロットを選択し赤と同様に操作後、ディフューズ色「G:1.000」 「A:1.000」、周辺光の色「G:1.000」、スペキュラーカラー「反射:1」、輪郭カラー「A:1.000」、輪郭ウェイト「1」
- 緑スロットを選択し赤と同様に操作後、ディフューズ色「B:1.000」 「A:1.000」、周辺光の色「B:1.000」、スペキュラーカラー「反射:1」、輪郭カラー「A:1.000」、輪郭ウェイト「1」
- ワークマテリアルを生成から色の確認ができる。確認を終える場合はクリアをクリックする。
ワークマテリアルを生成を押しても色が変わらない。
色変更のプレビューは編集モードでは確認できないためオブジェクトモードにする必要がある。
頂点モーフ
- オブジェクトデータプロパティ→シェイプキー→+から新規スロットを三つ追加する。
- 各スロットの名前をBasis(デフォルトのまま)、座面、背もたれにする。
- オブジェクト(Cube)をクリックして選択し編集モードに切り替える。[Tab]
- 表示方法を透過表示[Z → 2]に変更する。
- ナビゲートのXをクリックして視点を正面にする。[NUM3]
- ビューポートギズモ→オブジェクトギズモ→移動にチェックを入れる。
- オブジェクトデータプロパティ→シェイプキー→座面を選択する。
- 座面部分の頂点を選択し、ギズモの青い矢印をドラックして上方向に伸ばし、移動→移動Zに「10」と入力する。[G → Z →10]
- オブジェクトデータプロパティ→シェイプキー→背もたれを選択する。
- 背もたれ部分の頂点を選択し、ギズモの青い矢印をドラックして上方向に伸ばし、移動→移動Zに「10」と入力する。[G → Z →10]
- ナビゲートの-Yをクリックして視点を正面にする。[NUM1]
- 編集モードからオブジェクトモードに切り替える。[Tab]
モーフを表示枠に追加してPMXとして書き出す
- MMD Toolsタブ→モーフツール→頂点→モーフを.placeholderへバインドを選択し、座面モーフと背もたれモーフをスロットへ追加する。
- MMD Toolsタブ→モーフツール→頂点→モーフを.placeholderからバインド解除を選択し、モーフを変更できる状態にする。
- MMD Toolsタブ→モーフツール→マテリアル→赤を選択し、表示パネル→表情→下の欄の+マークでモーフを表示枠へ追加する。
- 同様に緑を表示枠へ追加する。
- 同様に青を表示枠へ追加する。
- MMD Toolsタブ→モーフツール→頂点→座面を選択し、表示パネル→表情→下の欄の+マークでモーフを表示枠へ追加する。
- 同様に背もたれを表示枠へ追加する。
- 椅子(エンプティ)か椅子_arm(アーマチェア / ボーン)を選択した状態で、MMD Toolsタブ→シーン設定→モデル→エクスポートからPMXを書き出す。
完成
Q&A
モデルを読み込んだ際に表示されるテキストを変更したい。
Blenderにもテキストエディターがあり、そのテキストをオブジェクトプロパティ→MMDモデル情報→コメント / コメント(英)に指定することで可能ですが、Blenderのテキストエディタは2バイト文字(日本語)の入力ができないため、PMXEで行ったほうが楽です。
外部ファイルをエディターに読み込むことも可能で、そちらでは問題なく2バイト文字も表示できるのですが、外部ファイルを更新してもエディターの文章は更新されないためPMXEで(略)
剛体を入れたい。
MMD Toolsでの剛体設定は操作感がかなり独特なため、PMXEで(略)
椅子の色をパステルカラーにしたい。
本来RGBで色を混ぜると白に近づくのですが、モーフを乗算で作っているためかモーフのRGBを混ぜると黒くなります。(※本来色を混ぜると黒くなるのはCMYKです。)
明るい色を作りたい場合、下記画像のような明るさ調整モーフを作り、色を混ぜつつ明るさを追加します。